地上波なし、ネトフリ独占=リスク覚悟の挑戦―WBC
野球の国・地域別対抗戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、大会史上初めて国内の地上波中継がない。独占配信権を得たのは、動画配信サービス大手のネットフリックス。前回2023年大会までのように、無料で試合を楽しむことはできない。
国民的な人気を誇るWBCのテレビ中継がないことが分かると、ファンは大きく反発した。その後、ネットフリックスは期間限定で月額料金の値下げを実施。さらに、日本代表「侍ジャパン」の選手の出身地など全国約150カ所でパブリックビューイングを開催するなど、間口を広げる取り組みを打ち出した。
巨大な需要を喚起することは、ネット配信業者にとってリスクでもある。サッカーの22年ワールドカップ(W杯)カタール大会では、ABEMA(アベマ)が課題に直面した。無料配信を担った同社は、国内からアクセスが集中すると予想された日本―クロアチアの決勝トーナメント1回戦で視聴制限を実施。ユーザー全員が視聴できなくなる事態を避けるためもあった。放送局が同時中継したこともあり、結局は大きな混乱には至らなかった。
今回、ネットフリックスは期待と責任を一手に担う。同社は「同時接続や大規模アクセスへの備えは最重要テーマ。技術チームと連携し、可能な限り安定した視聴環境を提供できるよう準備を進めている」と強調。リスク覚悟の挑戦について、同じく動画配信サービスを手掛けるU―NEXT(ユーネクスト)の堤天心社長は「非常に意欲的」とみる。
今回の独占配信について、産業能率大スポーツマネジメント研究所は2月中旬、全国の20~60代計1万人を対象に意向調査を実施。WBCを理由に「加入した」や「加入予定」と答えたのは4.9%にとどまり、「どんなに盛り上がっても契約する予定はない」は68%だった。調査結果には「大いに盛り上がった場合は『契約予定なし』の回答者が翻意する可能性もある」とも記されたが、果たして新規加入につながるか。