“タイパ”社会に定着も…半数以上が「何でもタイパ」に違和感持つ“タイパ疲れ”の傾向
セイコーは、6月10日の「時の記念日」にあわせ、「セイコー時間白書2024」を発表。その中で、現代社会で重視されるタイムパフォーマンス"タイパ"の実態について調査を行ったところ、半数以上が「何でもタイパ」に違和感を持つ"タイパ疲れ"の傾向が明らかになった。
調査ではまず、15歳〜69歳の男女1200人を対象に、普段の生活でのタイパ意識について質問。すると、58.0%が「タイパを意識して行動している」と答え、78.5%が「なるべく早く正解にたどり着きたい」、71.5%が「 なるべく無駄な時間は過ごしたくない」と答えた。現代人の多くが、日常的に時間効率を重視している様子がうかがえる。
次に、タイパを重視する考え方の社会への定着について聞くと、60.5%が「社会に定着したと思う」と回答。そこで、普段の生活でタイパを重視する時間があると答えた979人(全体の81.6%)に、重視する理由を聞くと、「効率よく情報を得たいから」(64.5%)、「無駄なことに時間を割きたくないから」(62.6%)が高く、次いで「空いた時間・作った時間でやりたいことがあるから」(55.6%)の順となった。
また、時間の使い方で、「A:タイパが最重要課題」or「B:タイパより大切なものがある」のどちらに近いかと聞くと、「タイパが最重要課題」と答えた人は16.0%に。続けて時間の使い方を聞くと、「生成AI機能を使って時間効率を高めている」と答えた人は、全体では22.2%だったが、「タイパが最重要課題」と答えた人では43.8%と高くなっている。同様に「時間効率を高めるためにChatGPTを使ったことがある」と答えた人も全体22.4%に対し、「タイパが最重要課題」と答えた人は38.0%と高く、「タイパが最重要課題」と考える人は、AIなどのテクノロジーも活用し、時間効率をさらに高めているようだ。
スマホのおかげで日常が格段に便利になっている昨今。「わからないことは、すぐに調べないと気がすまない」(74.8%)というタイパ意識は、スマホにより満たされる場面も多々ある。実際、知らないこと・わからないことがあったとき、最初にすることを聞くと、55.7%が「インターネットで検索」と答え、「自分の頭で考える」(10.8%)と答えた人の約5倍に上った。
スマホで何でもわかるようになった一方、67.1%は「情報収集の際にすぐにスマホなどに頼ってしまい、頭で考えないことが多い」と、スマホ頼みに疑問を感じる人も少なくないようだ。
そこで、スマホを使わずネットやSNS検索なしでどれくらいの時間考えられるのかを質問。まず、仕事や勉強について聞くと、「1〜2分程度」(20.0%)、「3〜5分程度」(22.2%)、「この時間はとらない(0分)」とスマホなしで考えることを放棄する人も21.5%と少なくなく、全体の63.7%がスマホなしで考える時間は「5分以内」だった。買い物や趣味などプライベートについても、「1〜2分程度」(19.1%)、「3〜5分程度」(20.8%)、「この時間はとらない」(22.5%)となり、スマホなしで考える時間が「5分以内」の人は62.3%だった。
こうしたタイパ重視社会の中、半数が「この時間は無駄ではないかとつい考えてしまう」(54.4%)と答えているが、その一方で、「何においてもタイパの良さを求められることに違和感を感じている」(52.9%)と答えた人も半数いた。加速化し、重要度が高まるタイパに対し、トゥーマッチと感じる"タイパ疲れ"の傾向も見られる。また、4割の人は「時間効率を高めるためにツールやライフハックを使うよう押し付けられていると感じる」(40.0%)と答えた。タイパ重視が進む中、何事にも効率化が求められることに違和感を覚える人も少なくないようだ。
ちなみに、"タイパを重視する時間"についてたずねると、「掃除」(37.8%)、「料理」(36.6%)、「洗濯」(36.5%)、「買い物」(33.7%)など家事全般が上位に。また、"タイパにとらわれずに過ごしたい時間"については、1位「睡眠」(41.8%)、2位「家族とのコミュニケーション」(39.5%)、3位「友人とのコミュニケーション」(35.3%)の順となった。
そして、タイパによって生まれた時間でしたいことは、「動画視聴」(19.6%)、「睡眠」(17.8%)、「読書」(16.5%)が上位となっている。