「ロボコップ像」実現へ募金続々、デトロイト市長は一蹴も設置なるか。
近未来の米デトロイトを舞台に、殉職した警官がロボットとして復活し、悪を倒すために活躍する映画「ロボコップ」。1987年に1作目が公開されて以降、1990年に2作目、1992年に3作目が製作された人気作だが、このロボコップがいま、久々に全米で熱い注目を浴びている。デトロイト市長のツイッターに寄せられた提案が元となり、物語の舞台となった同市で「ロボコップ像」を建てようとする動きが市民の間で盛り上がりを見せているためだ。像を建てるのに必要とされた資金は5万ドル(約420万円)。これを活動の中心となる市民グループがFacebookや公式サイトなどで広く募金を呼び掛けたところ、開始からわずか6日で目標額に到達したそうだ。
この運動が始まるきっかけとなったのは、マサチューセッツ州ニューイングランドのコンピューター技術者の男性が、デトロイト市長のツイッターに寄せた1つの提案。米紙デトロイト・フリープレスや公式サイトによると、男性は2月7日、「ジョークのつもり」でフィラデルフィアにある「ロッキー像」に対抗して、デトロイトに「ロボコップ像」を作ってみてはとツイートした。「デトロイトにとって最高の大使になる」と勧めるこのツイートを見た市長は即座に反応。しかしその答えは、「『ロボコップ像』を建てる予定は全くないが、提案してくれてありがとう」とにべのないものだった。
ところが、このやり取りを目にしたデトロイト市民のジョン・レナードさんが、提案を本気で実現したいと行動を開始。仲間とグループを作ると、地元の芸術家に「ロボコップ像」の制作依頼をするために必要な資金を集めようと、Facebookや公式サイトを立ち上げて広く呼び掛けを始めた。彼らは3月26日までに5万ドルの募金目標額を設定。目標額に到達したら「約7フィート(約2.1メートル)の像」(公式サイトより)を制作し、ミシガン中央駅前にあるルーズベルト公園を有力候補地に、設置を希望している。
このレナードさんらの募金運動は、2月10日の開始と共に期待以上の注目を集め、寄せられる額も勢いよく上昇。2月14日の時点で「1万1,812ドル(約98万円)」(米紙デトロイト・ニュースより)ものお金を集めると、サンフランシスコのビジネスマンという男性が、15日に目標額の半額に相当する「2万5,000ドル(約210万円)」(デトロイト・フリープレス紙より)を1人で寄付。この後押しもあって、16日の朝の時点で、早々に目標額の5万ドルを突破したそうだ。
サイトでは達成後も募金活動が続けられており、22日現在では約2,200人以上の支援者から6万ドル(約500万円)以上の資金を集めている。運動の成功は、特に地元の芸術家たちの間で支持されているそうで、「ロボコップ像」だけにとどまらず、「ほかのプロジェクトへ広げる大きな機会」と意気込む声も上がっているという。
ただ、一部の市民からは、映画の中でデトロイトが犯罪の多い街として描かれたことから「イメージを傷つける」といった反対の声も。ともかく、市民が準備を整えた運動に市側が協力を示すかも注目されるところで、募金活動が終わる3月26日以降の動きに注目したいところだ。