意義問われる10日間=分断、争い続く世界の中で〔パラリンピック〕

3/7 07:31 掲載
意義問われる10日間=分断、争い続く世界の中で〔パラリンピック〕

分断や争いが絶えない世界情勢の中でミラノ・コルティナ・パラリンピックが開幕した。障害のある選手によるスポーツの祭典は、困難を乗り越えて競い合う姿を通じて、多様性や共生社会の理念を発信し続けてきた。しかし、国際情勢の緊張が高まる中で迎えた今回は、その理念が一層試されている。


開会式を目前にした6日、イランから唯一出場予定だったノルディックスキー距離の男子選手が、中東情勢の悪化により渡航できず不参加となった。2月末に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響が、遠く離れたイタリアの大会にも及んだ形だ。


前回2022年北京大会でも、開幕直前にロシアによるウクライナ侵攻が始まった。五輪・パラリンピック期間中の停戦を求める国連総会の「休戦決議」は今回も守られていない。国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長は「私たちはスポーツに集中している」と強調しつつ、空文化した休戦決議を嘆き、取り巻く環境の厳しさを認める。


ロシアと同盟国ベラルーシの選手が自国旗の下で参加することも波紋を広げた。IPCは昨年9月の総会で参加を認めたが、侵攻を受けるウクライナは強く反発。同調するチェコなど6カ国と共に開会式をボイコットした。華やかなはずの式典は、一体感を欠いた。


それでも選手たちは全力で競技に向き合う。パラリンピックで計10個のメダルを獲得した日本選手団の大日方邦子団長は、「スポーツの力を信じてやるしかない。参加する国同士が交流を深めることが、長い目で見れば世界平和につながる」と語る。


互いを尊重し、助け合いながら競技する。そこに、時代が変わっても揺るがない大会の価値がある。対立が深まる今、その意義を問い直す10日間が始まった。(時事)




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